親鸞直筆の「教行信証」 真宗大谷派が完全復刻を計画 真宗大谷派(京都市下京区、本山・東本願寺)が、根本聖典の国宝『教行信証(きょうぎょうしんしょう)(坂東本)』の完全復刻を計画している。紙の素材まで忠実に再現し、手作業に近い特殊なカラー印刷技術を用いる。大谷派は「宗祖が信仰を深める足跡を現代に蘇らせ、学術研究に広く活用したい」という。 教行信証は他にも写本が伝わるが、坂東本は唯一親鸞の直筆で、朱筆などを用いて原文に加筆している。現在は京都国立博物館に寄託されている。 復刻は、大谷派が宗祖750回遠忌(2011年)記念事業の一環として計画した。3月の宗議会で議決したうえで、来年度にまず原本を国と府の補助を受けて約10カ月がかりで修復する予定。並行して原本の全6冊、約700ページを写真撮影し、復刻に取りかかる。06年ごろに通常の印刷、製本で普及版を500−1000部発行。その後、「完全版」を3部程度作るとしている。 完全版は、原本と同じ三種の和紙を、教行信証が書かれた鎌倉時代の素材と、紙すきの技術を復活させて作る。さらに、とじや折りなど製本の形も再現する。カラー印刷も、版画の技法を用いた手作業に近い特殊技術を用いるという。 草野顕之・大谷大教授(真宗史)は「坂東本に残る朱筆などの書き込みは、親鸞が最晩年まで自らの信仰を確かめた過程を示している。原本に忠実な復刻で、思想の深まりの足跡を解明する機会が広がる」と話している。 2003年2月14日 -京都新聞 より- |