銘文の全容解読 330年前の様子伝える
 文亀本当麻曼茶羅の軸木

 当麻町の当麻寺曼荼羅堂に安置されている国の重要文化財「文亀(ぶんき)本当麻曼荼羅」(室町時代)に使われていた軸木を調べていた元興寺文化財研究所は6日、軸木に記された銘文のほぼ全容が明らかになったと発表した。摩滅した文字をデジタル赤外線撮影で解読。文亀本製作の経過など約330年前の当時の様子を伝える貴重な資料で、すでに判明している銘文の内容と合わせて公開する。
 軸木は、中将姫伝説で知られる国宝「綴織(つづらおり)本当麻曼荼羅」(奈良時代)を等寸大(約4メートル四方)の絹布に1503(文亀3)年に転写した文亀本(重要文化財)に使用されていた。

 全長4.4メートル、直径7.4センチの一本のヒノキで、文亀本が江戸時代(1670年代)に表具の修理を受けた際、新しいものに取り替えられ、同寺西南院が保管していた。
 軸木表面には、404文字からなる銘文が三行にわたって墨書されていて、巨大な絹布が2カ月かけて織られたことや資金不足などで製作が遅れ、完成には10年かかったことなど製作された当時の様子を伝えている。
 銘文は、一部研究者の間でも知られていたが、文字が摩滅して判読が困難な部分があった。同研究所がデジタル赤外線撮影で分析したところ、これまで「末法世界」と読まれていたのが「末法万年」だったことなど新たに判明した部分もあった。
 綴織本は、中将姫が阿弥陀如来の極楽浄土の様子を蓮糸を使って織り上げたという伝説があり、鎌倉時代以降、全国に多くの写本が作られた。文亀本は二つある正式写本の一つで、同寺の本尊として曼荼羅堂にまつられている。
 軸木は、7日から14日まで、当麻寺西南院で一般公開する。
  入場料300円。問い合わせは同院、電話0745(48)2202。

                      2003年5月7日 -奈良新聞 より-

index