枯淡の銀閣 維持 老朽化修理方針 創建時の黒漆塗りには戻さず

 京都市左京区の銀閣寺(慈照寺)で京都府教委が進めている銀閣(観音殿)の修理方針が11日までに決まった。当初、2階の外装を黒漆で塗装し創建時の姿に戻す案も検討されたが、部分補修にとどめ現状を維持。内側など人目に付かない部分の補強を充実する。

 ■内部の補強充実

 銀閣の修理は屋根ふき替えと部分修理で、昨年11月からスタート、2010年3月の完成を目指す。

 銀閣は2階の内と外に創建時から黒漆が塗られていることが知られていた。銀箔(ぎんぱく)を張る下地の可能性も考えられたため、サンプル調査をしたが銀は検出できず、創建時の塗装と判断した。

 2階には壁板など創建時の部材が多く残るが、風化で板が薄くなりくぎが露出するなど老朽化が著しかった。

 府教委は当初、壁や軒下に黒漆を塗ることで老朽化を防ぎ、創建時の外観に戻す方針を提案したが、「東山文化を代表する枯淡(こたん)の美が失われる」と寺が難色を示していた。

 5月に開かれた学識者らによる寺の保存整備委員会で、府教委は当初案と合わせて、(1)外装の補修は、風化の著しい部分の穴埋めにとどめる(2)壁は耐震性のある板で内側から補強する(3)腰掛けの下や基礎など見えない部分に構造補強を施す−とする案を提示し、寺が同意した。

 府文化財保護課は「黒漆の塗装は、数百年後に残す文化財保存の観点からの提案で、最終的には所有者が判断すること。30年ごとの屋根替えのたびに部分修理を行えば、保存は可能」とする。

 銀閣寺の平塚景堂執事長は「わび、さびの文化は寺の原点。現在の外観をできる限り残したい」と話している。

 【銀閣寺】 室町幕府の八代将軍足利義政(1436−90)が造営した山荘・東山殿を、義政の遺言で禅寺に改めた。銀閣と東求堂(いずれも国宝)の2棟は当初から残る建物。


                     2008年6月11日 -京都新聞 より-

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