重文曼荼羅・金剛界に胎蔵界の仏 異例の構図 金剛輪寺調査で判明

 国の重要文化財「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)金剛界八十一尊大曼荼羅(まんだら)図」(東京・根津美術館所蔵)が、単なる金剛界曼荼羅ではなく、対になる胎蔵界曼荼羅に通常描かれる仏が一部描かれていることが、金剛輪寺(滋賀県愛荘町)が中心となって進めてきた復元模写事業委員会の調査で分かった。成立の経緯などに注目が集まりそうだ。

 曼荼羅図は、経典を元に密教の教義を大日如来を中心に数々の仏を配置した図像で、金剛界と胎蔵界がある。通常は、それぞれに決まった仏を描く。

 根津美術館所蔵の曼荼羅図(約2メートル四方)は鎌倉時代初期の作。元来は金剛輪寺が所蔵していたが、明治初期に流出したとみられ、胎蔵界曼荼羅の存在は確認されていない。

 委員会によると、復元模写で参考にした精密写真などから、この曼荼羅図の四隅の仏が、従来考えられていた軍荼利(ぐんだり)明王や馬頭明王ではなく、胎蔵界曼荼羅に描かれる忿怒月黶(ふんぬがちえん)菩薩や馬頭観音である可能性が高いという。

 委員の一人、琵琶湖文化館(大津市)の井上ひろ美学芸員は「金胎の両方を表現した特徴的な曼荼羅図といえる。修行で得たことを表現する意図で、描き替えさせたのではないか」という。

 復元模写は2005年から大津市内で進めており、ほぼ完成した。5月10日から31日まで、金剛輪寺で公開される。


                    2009年4月8日 -京都新聞 より-

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